不良姿勢を何故放置してはいけないのか
before after
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今回は不良姿勢について書いていきます。
上の画像の方は月に1~2回程度メンテナンスでいらっしゃる患者さんなのですが、
毎回施術前は左の画像の様にかなり右肩甲骨が下方へ偏位してしまっています。
施術前の状態では右の肩甲骨を吊り下げている僧帽筋や肩甲挙筋といった筋肉に強い伸張負荷が掛かっているのが見て取れます。
施術後はご覧の通りです。
慢性症状、時には急性症状の基礎として不良姿勢というものが存在しているのは認識されている方も多いかと思います。
ではその悪い姿勢が何故作られるのか。
それはあなたが日常一番多く取っている体勢そのものが不良姿勢を作り上げているのです。
例を挙げるなら、デスクワークが長い方であれば骨盤後傾での座位姿勢、
両手を常に前方に位置させてキーボードやマウスを操作する。
自動車の運転が多い方であれば、右側の股関節だけ曲げた姿勢でずっと座り続けている。
立ち仕事の方でも左右で重心の偏りがある状態で立ち続ける、身体を一方向に傾けている、もしくは捻っている。
スポーツでも片腕だけを多く使う、一方向にだけ捻り運動を反復する。等々。
挙げたもの以外にもたくさんありますが、こういったものが不良姿勢を作り上げる要因として考えられます。
いらっしゃっている患者さんには常々言っていることなのですが、あなたの今の悪い姿勢というのは
身体があなたの生活環境に適応してきた結果、作り上げられたバランスなのです。
つまりあなたの身体および脳はあなたのその悪い姿勢を、
「最適化された正しいバランス」だと認識しているということです。
この「脳が」というところが非常に厄介でして、
つまるところ施術をして姿勢が改善した後の身体がそれまでと同様の生活負荷を受けた場合
脳が「ほら、やっぱり元の姿勢(不良姿勢)のバランスの方が負荷に耐えられるじゃないか」と
判断して施術前のバランスに戻そうという力が働いてしまうのです。
ホメオスタシス(恒常性)という概念があります。
本来であれば外部や内部の環境に対して、身体の状態を一定に保つ為に働くことを言います。
しかし、この不良姿勢と生活負荷の関係でいえば施術を受ける前の悪い姿勢の方に
恒常性を発揮してしまうという逆転現象が起きてしまうことが多々あるのです。
痛みなどの表に現れる自覚症状が戻らなくとも、この不良姿勢の戻りにこそ施術家側は着目しなければいけません。
何故なら運動器の問題で言えばそれこそが身体の不調を引き起こす際たる要因だからです。
患者さん自身が把握していなくとも私は症状の戻りの引き金である不良姿勢の戻りをしっかり管理することを常に心掛けています。
生活を送るにあたって不必要な習慣であれば別ですが(片掛けのバッグはやめる、腕枕をしながらテレビを観る、等)
いくら不良姿勢の原因だからといって現在の仕事を辞めたりすることは現実的な解決策とは言えません。
生活負荷によって起きる問題に折り合いをつけ、それによって起きた身体の変化をリセットさせる。
痛みなどが出る前段階でそれが出来ればなおのこと良いです。生活の質が向上しますからね。
これこそが本来の意味でのメンテナンスだと私は考えます。
新患さんであれば初回から数回は頻度を高くして施術を受けていただき、
上述した悪い方への恒常性が取れた状態になったと判断出来てから
月に一回程度のメンテナンスへの移行をお勧めしているのは、
今回説明したような状態変化の流れが起きることが理由になります。
しっかりと姿勢を改善したいという方は是非ご相談ください。