自然免疫と鍼灸|中野富士見町の整骨院 富士見町fine整骨院 はり灸マッサージ院

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スタッフブログ

自然免疫と鍼灸

かねてより鍼灸の効果に免疫力強化というものが謳われているが、私自身これまでさほどこの部分に注目したことはあまりありませんでした。

今まではメインに整骨院という屋号を出している為、運動器の問題で当院へかかられる方が多く、自然と運動器へのアプローチとして鍼灸を用いることが多かった為です。

ただ、昨今の情勢の変化に伴い感染症対策や自己免疫疾患、または癌予防などに対して鍼灸師として免疫への働きかけというものに注力する必要性が大きくなってきたように感じております。

 

これまでの西洋医学的アプローチとしての予防医学は約200年間、ご存じの通り獲得免疫の強化を目的とするものでした。

しかしここ20~30年の免疫生物学の発展により自然免疫の働きが明らかになりつつあり、その重要性の認識が進んでいます。

以前は獲得免疫こそ免疫の主要な要素と考えられていたのがどうやらそうでもないぞと考えが改められてきたのです。

 

ではこの自然免疫の働きというのはどういったものがあるのでしょうか。

 

 

まずこの20~30年で大きく研究が進展した部分としてトル様受容体(Toll Like Receptor : TLR)が挙げられます。

以前は自然免疫というものはごく単純な貪食作用をもって働いているだけと考えられていましたが、実はそうではなく

このトル様受容体により抗原の識別を暴露の初期段階から行い、後に続く液性免疫にも抗原提示を行っていることが分かったのです。

 

 

フランスの研究者であるジュール・ホフマンは抗菌ペプチドの研究をしていました。

抗菌ペプチドというものは病原体の細胞に穴をあけて殺すという機能を持つタンパク質の一種で、獲得免疫系で産生される抗体とは異なり遺伝子の再編成は行わない比較的単純な産生方法を用いられます。しかし単純であるが故感染初期における病原体への反応が非常に早いのが特徴です。

ホフマンの研究チームは1996年にショウジョウバエを用いてこの抗菌ペプチドの研究を行っていました。ショウジョウバエは無脊椎動物なので獲得免疫系を持たない生物にカテゴライズされます。

このショウジョウバエのTollを変異させた結果、真菌に対して抵抗力の無い個体を産み出すことに成功しました。つまりカビの成分である病原体を感知するのがTollであることが示されたわけです。

 

この結果が示されるまで自然免疫系はマクロファージが見境なく貪食作用を発揮して獲得免疫系に役割を渡すまでの時間稼ぎをしているだけと考えられていましたが、実際は獲得免疫系を持たない動物も、このTollを用いて病原体を予測しながら待ち構えている状態だったのです。これはこれまでの自然免疫系の概念を覆す大きな発見でした。

 

この時点ではTollはハエのような非脊椎動物にしか見つかっていませんでしたが、後に哺乳類にもTollに相当するタンパク質が発見され、トル様受容と呼称されるようになり大きく研究が進展していきました。

 

トル様受容体とは樹状細胞、T 細胞、好中球、好酸球、肥満細胞、マクロファージ、単球、上皮細胞のような多くの種類の免疫細胞に存在する受容体で、抗原(細菌やウイルス)が体内へ侵入した際にその分子構造のパターンを認識し、自然免疫系の活性化を促す働きをします。

上記の図のように人間においては10種類のトル様受容体が同定されていて、それぞれが担当する抗原に対して反応し無脊椎動物と同様に抗菌ペプチドというタンパク質を細胞内で合成させるのです。

 

では、翻ってこの分野に対する鍼灸のアプローチとはどのようなものが考えられるでしょうか。

そのカギとなるもののひとつにヒートショックプロテイン(Heat Shock Protein : HSP)があります。

 

ヒートショックプロテインとは1974年にこれもまたショウジョウバエから発見された物質で、

ショウジョウバエの幼虫に熱ストレスを加えた際に特定のタンパク質が素早く発現上昇することが

アルフレッド・ティシェールらによって発見されました。

このHSPというタンパク質は分子シャペロンという変性状態のタンパク質を折りたたまれた天然状態にする働きをしたり、

細胞内で生成された前駆タンパク質の輸送をしたりする、タンパク質の品質管理に必要不可欠な物質であることが後の研究で明らかになりました。

 

前述したToll様受容体4はこのHSPの受容体であり、このHSPの熱ストレスにより発現が上昇する特性を利用し、

灸施術によってTLR4を活性化させることによって自然免疫を賦活化させることが可能なのです。

 

特にマクロファージの活性化は、その即応性から免疫力全体の強化において非常に重要であることは明白です。

また、リンパ節付近への熱刺激によってNK細胞の賦活化も起こせるため癌細胞への攻撃も強化されます。

こういった機序を体内に薬剤を入れたりすることなく、外部から熱刺激のみでもって誘導を行えるという点が灸施術の特筆すべき利点と言えます。

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