第九回 【肩凝りって何故起こる? part4】
富士見町fine整骨院、中川です(^^)
今回は肩こりのあまり知られていない原因の一つである深部受容器の感作について紹介します。
ところで聞きなれない言葉だと思いますが「深部感覚」という言葉をご存じでしょうか?
これは身体の各部分の位置や動作の状態、身体に加わる抵抗や重さを感知する感覚で、いわば自分の身体のがどういう姿勢でどういう力に曝されているかを感知する為のものです。
さてこれが肩こりにどういう関係があるのか(実際は肩こり以外のあらゆるものにも影響してますが)
肩こりの二回目の投稿で触れた交感神経と侵害受容器の亢進の関係と少し似ているのですが、
今回は深部感覚の受容器の亢進による影響になります。
筋肉内には筋紡錘という筋の長さを感知するセンサーがあり、
その末端にある腱にはゴルジ腱器官という張力を感知するセンサーがあります。
以前に肩甲骨は頚部から僧帽筋、肩甲挙筋などの軟部組織により吊り下げられた構造だという説明をしましたが、
これがひとつポイントになります。
デスクワークや勉強中など前傾姿勢や腕が前方に位置している時、肩甲骨を吊り下げている筋や腱には「長さが長くなっている」、「引っ張られている」という情報が深部受容器により感知され脳へと信号が送られています。
この時脳がどう反応するのかというと、それは肩甲骨の位置を維持できるだけの筋収縮を起こすよう筋に指令が発せられるのです。
ここまでは生理的な反応でありまったく何にも問題は起きていません。
ではここからが問題なのですが、その肩甲骨の位置を維持する時間が長時間続くとどうなるか。
それは深部受容器の反応のしやすさが高まっていくのです。
言い換えると肩甲骨を吊り下げている筋肉に負荷が掛かっていない状態でも、
掛かっているときと同じように脳からの筋収縮の指令が筋組織に伝達されてしまうのです。
肩こりのような慢性的な疼痛治療に対してこれが非常に大事なポイントで、
デスクワークなどをしていないときでも肩の張りが取れなかったり、
ほぐしてもまた元に戻ってしまう理由はここにあるのです。
ではどうすればいいのか。
それは感受性の亢進してしまった深部受容器の感受性をとある方法でリセットさせることにより改善することができます。
その方法というのが、カウンターストレインとよばれる手法になります。
やり方は非常にシンプルで圧痛を起こした箇所に対して圧迫と筋組織の短縮をして約90秒保持するというだけです。
これにより深部受容器の感作が由来の痛みであれば驚くほどの効果が出ます。
もちろんこの手法も全ての肩こりに対して完全な治療法ではなく、あくまで深部受容器由来の痛みに対して実力を発揮するものです。
患者さん一人ひとりの肩こりの原因が何の要素によるものなのかは実際に見て触って動かしてみなければ分かりません。
肩こりというのはよく知られた症状で簡単に考えられがちではありますが、慢性痛というのは実は奥が深いものです。
他の治療で改善がみられなかった方には一度試してみてはいかがでしょうか。