ダンサーの方の腰痛、意外な原因と落とし穴。
先週初めに腰痛を発症されたダンサーさん。
翌週から仕事でハードに身体を動かさなくてはいけないとのこと。
つまり今週以内に痛みを取ってほしいという希望でした。
腰痛は強い後屈痛があるものの患部の炎症も見受けられず神経症状もなかった為、
三回も施術すればほぼ問題無くなるだろうとの見立てをお伝えしました。
実際に全体の状況を見てみると腰部脊柱の側弯に伴う左起立筋の膨隆がかなり目立っていました。
そして体幹後屈をさせるとほぼ直立が出来ない程の可動域制限と、腰椎部に強い疼痛を生じている状態。
「これは股関節だな」と思い、股関節を他動で動かすと腰部にまで響く痛みがあり、可動域制限もかなり強固に起きていました。
そして股関節のリリースをしてあげると案の定腰部の側弯と左起立筋の膨隆は消失しました。
よし、これで大丈夫かなと思い体幹後屈をさせてみましたが疼痛レベルは3割改善、といったところでした。
私としては7~8割は取れたかなと思っていたので、「あれ?何か見落としたかな?」といった印象です。
それならば上半身だと思い、今度は肩甲骨や上肢の領域を見ていきます。
よくよくお話を聞いてみると最近動画編集の作業をされていたそうで、上肢をかなり酷使していたとのこと。
背中の圧痛店を見つけながら肩甲骨を動かしてあげると、その圧痛店が消失しました。
そしてもう一度立たせて体幹後屈をしてもらうと痛みはほぼほぼ消失したとのこと。
今回はダンサーさんという属性がまず私の頭の中で有り、
それに引っ張られて腰部の急激な過伸展というイメージがありました。
もちろん最終的には腰椎過伸展による損傷ではあったのですが、
その負傷を起こす基礎として肩甲骨の偏位による体幹の捻じれが要因となり、
負傷した後もその捻じれの要素による関節アライメントの不正が残って痛みが取り切れなかった、という次第でした。
出来るだけ先入観を捨ててありのままをフラットに見よう、というように常に心掛けているのですが
やはりどうしても患者様の属性などに思考が引っ張られてしまいますね、反省です。