膝の問題は膝のみに非ず

膝の問題というのは実は膝のみをみれば良いわけではなく、
上下の関節および体幹、更には肩甲帯のアライメントまでみなくてはいけないものなのです。
今回の患者さんは骨盤前傾による股関節の内旋傾向がある方で、
この股関節内旋に起因する下腿骨のアライメント不良が原因の症状でした。
初めは膝関節部の腫脹と屈曲障害、完全伸展不能であったのですが、下腿骨に誘導を加えていくと屈曲時の疼痛が解消されていきました。
そして最終的には膝関節の完全伸展が可能になり、立位時の疼痛は消失していました。
これは本来持っている正常なアライメント方向に下腿骨を誘導したことにより
腫脹が引いていき、機能障害が消失したものです。
ただ、注意が必要なのはこの膝関節アライメントの異常を引き起こしているのが
足部や股関節や体幹、肩甲帯アライメントがそもそも不良であることが誘因となっているという点です。
この点に留意せず膝のみへの施術を行っても、その場での膝の症状改善がみられても
また同様の症状が再発してしまうことになります。
当院では全身へのアライメント調整を行うと同時に患者さんご自身によるエクササイズによって
症状の戻りを防ぐべく指導もしています。
全体のバランスというのは一朝一夕できれいさっぱり変わるものではないのである程度の継続が必要ですが
一回の施術やエクササイズの実施で動きが変わるのを実感していただけるので努力感も少なくて済みます。
何より患者さんご自身の症状に対する認識が改められるので不良肢位やよろしくない習慣を改めてもらえる
きっかけとなるのが非常に大きいです。